最近、出社を義務化するというニュース、非常に増えましたね。
身の回りの事例としても、増えてきた気がします。それに合わせて、Return To Officeについてどう思う?みたいな記事も非常に多い。出社回帰するなら転職を考える〜とか、そういう話がとても目立つ。
「またそういうやつか」という気持ちと同時に、最近よく聞くこの手の話題について、どうしても気になってしまう言葉があるんですよね。
それは「Return」です。
「戻る」場所がない世代
RTO。Return to Office。
「Return」って、要は「元に戻す」という意味じゃないですか。コロナ前のオフィス勤務という「正常な状態」に戻そう、という発想が透けて見えるようです。
でも、これってちょっと不思議な話だなと思います。
2020年以降に社会人になった人たちにとって、オフィス勤務は「戻る」場所じゃないんです。そもそも行ったことがないんですから。リモートワークが当たり前の環境でキャリアをスタートした世代にとって、これは「Return」ではなく「Change」です。
世の中は常に変化しています。諸行無常です。
それなのに「昔はこうだったから戻そう」というのは、過去を知る世代が経験にあぐらをかいているだけなんじゃないか。そんな風にも思えてしまうんですよね。
リモートからキャリアを始めた世代のほうが、社会人の中で圧倒的に少ないし、そこに大きな価値観の断絶を感じます。かくいう僕も社会人生活全体でいうと、出社が当たり前だった時期と、リモートになった時期とがちょうど半々くらい。
ただ、状況が変われば最適解も変わるもので。本来なら「戻す」のではなく、今の時代に合わせて「新しく作る」方が良いのではないかと思っています。
出社原則の裏側にある「再設計」
とはいえ、単に「昔に戻す」だけではない動きも見え始めています。
例えばInstagram。彼らも週5出社を原則とする方針を発表しましたが、実は同時にかなり思い切った施策も打ち出しているんですよね。
- 定例会議を全キャンセル: 6ヶ月ごとに定例会議を全部リセットして、本当に必要なものだけ再設定する
- デッキよりデモ: 製品説明はスライドではなく、プロトタイプを見せる形式に
これ、週5出社が必要かどうかは一旦置いておくとしても、施策としては素晴らしいですよね。
リモート時代に増殖した「とりあえず会議」を一度断捨離して、働き方全体を再設計しようとしている。単なる「RTO」ではなく、組織をアップデートしようという意図が見えます。
Amazonや他のBig Techも出社回帰の動きを見せています。が、ただ「戻れ」と言うだけでなく、こうした「働き方の再定義」がセットになっているかどうか。そこが重要な気がします。
対面情報の解像度
じゃあ僕自身のスタンスはどうかというと、基本的には強い意志でリモートを選んでいます。リモートワークが良くて転職に踏み切った部分もありますし。
ただ、対面の価値を否定しているわけではありません。僕もコロナ禍以前から働いている身として、対面でしか得られない情報の多さは体感として理解しているつもりです。
特に「文字と感情の乖離」ってあるじゃないですか。
チャットだと冷たく見えるけど、会って話すと全然そんなことない、みたいな。画面越しだとどうしても「顔」と「声」、あるいは「テキスト」しか情報がない。
でも対面だと、姿勢とか、手の動きとか、目線の配り方とか、そういう非言語情報が嫌でも入ってくる。「あ、今ちょっと納得してないな」とか、「実は結構乗り気だな」とか。そういう微細な変化を感じ取れるのは、やっぱり対面ならではの解像度ですね。
前提にその解像度があるからこそ、非対面のMTGもスムーズに進みやすくなることも非常に多いと感じます。
また、完全に持論ですが、リモートでも良い感じに会話をする能力については、僕と似た世代にネットに触れていた方々はSkypeに育てられている人も少なくないのではないかって思っています。
リモートMTGというか、ネット通話という文化があるかないかも、また世代によって大きく異なるな〜なんて感じますね。
プロフェッショナルとしての「場所選び」
だからといって、「MTGは全部対面でやるべき」とは思いません。
むしろ、対面MTGって「声の大きい人」が得をしがちじゃないですか。場の空気で押し切れちゃうというか。空気感というものが良い方にも悪い方にも働くのだと思います。オンラインツールを使った方が効率的なこともしばしばです。
結局のところ、大事なのは「効率や生産性を高める責任を自分で負う」ということなんじゃないかなと。
一人で集中してコードを書くなら、オフィスだろうが自宅だろうが、自分が一番パフォーマンスを出せる場所を選べばいい。逆に、複雑な利害調整が必要なら、あえて出社して膝を突き合わせた方が早いかもしれない。
会社に「来い」と言われるから行くのではなく、プロとして成果を出すために「場所を選ぶ」。
そういう責任の持ち方こそが、これからの働き方には求められている気がします。というか、ハイブリッドな働き方を提唱している会社には、そういうメッセージが込められていると思っているし、逆にそうでない会社にはどういうメッセージで出社状況を決めているのだろうかと、気になることがありますね。
まとめ
「Return」という言葉に違和感を覚えたのは、そこに「過去への執着」を感じたからかもしれません。
2020年以降の世代が増えていく中で、「昔に戻そう」という号令は、だんだん当たり前に通じることは少なくなっていくでしょう。
時間は戻りません。だからこそ、戻るのではなく、新しく選ぶ。
「なぜ今日はそこ(オフィス/自宅)にいるのか?」
その問いに、自分なりの合理的な答えを持っていたいなと思いながら、たった今この記事を出社勤務後に書き、明日はリモートワーク予定のあでぃでした。





